コラム
3本柱ってどんなもの?育みたい資質・能力の3つの柱について考えてみよう!
保育や幼児教育を学んでいると必ず耳にする、3つの柱。
保育所や幼稚園、認定こども園で日々過ごす子どもたちが育っていく過程で育みたい資質・能力を3つにまとめたのが「3つの柱=3本柱」ですよね。
でも、日案や指導案を考える時によく参考にされる5領域や10の姿はすべて3本柱につながっているのに、3本柱について深く考えたことはない、という方が多いのではないでしょうか?
そこで今回は、3本柱について深堀りしていきたいと思います!
普段の活動がどう3本柱につながっているのか知るきっかけにもなるので、ぜひチェックしてみてください!
3本柱とは
3本柱とは、保育所保育指針や幼児教育要領、幼保連携型認定こども園教育・保育要領に書かれている「幼児教育を行う施設として共有すべき事項の育みたい資質・能力」のこと。
「それなら知ってるし、文言も覚えたよ」という方もいるかもしれませんね。
でも実は、保育や幼児教育の上で大切にしたいのはこの文言の前に書かれている文章です。
・豊かな体験を通じて、感じたり、気付いたり、分かったり、できるようになったりする「知識及び技能の基礎」
・気付いたことや、できるようになったことなどを使い、考えたり、試したり、工夫したり、表現したりする「思考力,判断力,表現力等の基礎」
・心情、意欲、態度が育つ中で、よりよい生活を営もうとする「学びに向かう力,人間性等」
引用:保育所保育指針
保育所でも幼稚園でも認定こども園でも、これらの資質・能力を育むために10の姿と5領域を基に活動していくことが求められています。
どういうことなのか、具体的な活動も交えて3つの柱について詳しく見ていきましょう!
知識及び技能の基礎
知識及び技能の基礎で育みたいのは、豊かな体験を通して感じ・気づき・理解し・できるようになる力。
とっても抽象的に書かれていますが、「体験して何かを得る」ことで知識や技能の基礎を築こうというものです。
ここで重要なのが「体験して得る」の部分。
決して、「字や数字を教えて読み書きそろばんができるようにして、知識と技能を身に着けさせよう」ということではありません。
たとえば、
散歩道の途中にある大きな木は、春には緑の葉が広がり、秋には黄色になって、冬は落葉する様子を見て、季節の移ろいを感じる
という何気ない活動でも
1:「木を見る」という体験を通して
2:季節の移ろいを感じ
3:季節によって葉の様子が変わることに気づき
4:木の様子が季節によって変わることが分かるようになる
と知識及び技能の基礎を育む活動になっています。
さらに、落葉した葉を使って表現活動をすれば、「できるようになる」もクリア!
難しく考えなくとも、日常の中で育めることがわかりますよね。
思考力、判断力、表現力等の基礎
2つ目の「思考力、判断力、表現力等の基礎」で育みたいのは、1つ目で培った気づく力やできるようになったことを基に、さらに発展させることができる力。
これも先程の活動の続きとして考えると
「散歩コースにある木がそろそろ落葉するよね」と気が付いた5歳児(年長)クラスの子どもたち。「その葉っぱを使って、遊ぼうよ!」と思いつく。ある日の散歩で大きな袋を持っていき落ち葉を園に持ち帰ってきて、落ち葉のじゅうたんにしたり、おままごとに利用したりと思い思いに落ち葉を使って遊んでいた。
という日常に有り得そうな光景も
1:これまでの経験からそろそろ落葉しそうだということに気が付き
2:気がついたことや、その葉を使って活動できる力を使って
3:自分たちで考え(思考力)、どうしたらいいか判断し(判断力)、思い思いの活動に利用する(表現力)
と思考力、判断力、表現力等の基礎を育む活動になっているんです。
学びに向かう力、人間性等
3つ目の「学びに向かう力、人間性等」で育みたいのは、心が成長して向上心を持って生活できるように頑張ろうとする力です。
これは、1つ目2つ目の力が育っていく中で培われていくものなので、3つの柱の中でも全体を包括するような部分に当たります。
「勉強するために机に向かえるようになる」力でも「周りに迷惑をかけずに黙って勉強に向き合えるようになる」力でもありません。
この柱で大切なのが「心情・意欲・態度」が育つ中で育んでいきたい力であるというところ。
1つ目と2つ目の資質・能力を育む先に、この3つ目の力があるということを忘れずに日々の活動を進めていきましょう。
まとめ
「3つの柱ってなんだか難しいし、小学校以上との連携に必要な要素だから子どもたちがしっかり勉強できるようにするためのものなんでしょ?」と思われがちな3本柱。
でも、その内容としっかり向き合ってみると、いつもの活動の中で育んできている力をきちんとした言葉でまとめただけ、ということがよくわかりますよね。
3本柱を基に、5領域や10の姿を具体例として子どもたちとの生活や活動を考えていくようにしましょう!